「かける」

食べ物が出てくる絵本はいろいろありますが、特に日本には、食べ物そのものにグッと焦点を当てたものや、リアルな表現で見ているだけで美味しそうな絵本が多いような気がします。

作者のはらぺこめがねさんは、お名前の通り食べ物をテーマにした絵本を作っておられるユニットで、力強くダイナミックな描き方で面白い絵本が他にもいろいろあります。

この「かける」は、かけるという言葉に焦点を当て色々な食べ物が出てきます。

スパゲッティに粉チーズをかける。

かき氷にシロップをかける。

オムライスにケチャップをかける。等々

子ども達の好きなメニューが次々出ててきて、色々なものをかけてゆく楽しい絵本です。


「かける」という動詞は、子どもが使いこなすことが案外難しい動詞の一つで、「乗せる」「入れる」や「ジャーッする」という日本語で代用していることがよくあります。

少し大きい子には、同音の動詞でも使い方が違うことを理解確認する練習はしていますが(例、ボタンをかける、ソースをかける)、日本で生活していれば意識せずとも自然に使えるようになる語彙が、海外ではどうしても不足する現実をなんとかカバーできないかと考えていたところ、偶然にこの絵本を見つけました。

この絵本なら読み書きがまだできない小さい子にも楽しめますので、「かける」の概念を実感してもらえのではと思います。

食卓での親子の会話で毎日豊富に日本語の語彙や表現を使うことができれば理想的ですが、お腹の減っている子どもは目の前の料理を食べたい一心で親の言うことは上の空だったり、親は他の家事や、下の子に手がかかって、会話どころではなかったりというのが普通だと思いますので、このような視点から絵本を選ぶことも一案です。

日本語の勉強のためと思ってくどくどと読み聞かせるのではなく、あくまでも絵本を楽しみながら、楽しんで語彙を広げるという気持ちで読んであげてください。


こどもの  にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス