「怪物園」

怪物がたくさん出てきますが、子どもの自由な空想の世界がお話のメインになっていますので、お化けや怪物を怖がる年齢の子どもでも大丈夫だと思います。

一見不気味な怪物たちですが、よく見ると可愛かったり面白かったり、でも全体的には静かで不思議な空気感が描かれていて、独特の雰囲気が面白かったです。

細部までとても丁寧に描いてあり、色使いも非常に洗練されているので、じっくりといつまでも眺めていたいような絵本です。

表紙にもちょっと面白い工夫がありますので、ぜひ手に取って見てください。

”外へ出てきた怪物たちが街を何日も行進したので、大人も子どもも慌てて家の中に逃げ込み、子どもたちは何日も外で遊べなくなりました。”というくだりは、コロナ禍を思い出させるものがあり、2020年12月5日初版発行と奥付けにあるのを見て、不思議な気持ちにもなりました。

単なる子どもの空想物語と読むか、怪物に例えた深い意味があるか、大人なら考えてしまうところですが、子どもたちはどう受け止めるのか興味があります。

ただ、ストーリーとしては凡庸ではあるので、子どもを惹きつけるもう一工夫があっても良かったかなという気もします。

お風呂に入りなさい!で一瞬現実に引き戻されるのは、子どもを育てた人ならクスッと笑えるところでしょうね。

junaidaさんの絵本は、子どもがパッと見て手に取るタイプのものではありませんが、読んでみると非常に面白く、綺麗な絵に導かれて自由に子ども達が楽しむことのできる完成度の高い絵本ばかりです。

来年のハロウィンにみんなで一緒に読んでみると良いかもしれませんね。

こどもの  にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス