子どもが日本語を勉強する上で一番負担に感じるのは、まず漢字の練習ではないでしょうか。
必死に練習しても、結局しばらくしたら忘れてしまいがちで、書き取り練習が苦痛になり嫌々やる、だらだらやる、あるいは「やる、やらない」で親子喧嘩が勃発。
親も子もほとほと疲れ果てるという負のループにはまりやすいように思います。
新出漢字の数も学年が進むにつれて増え、漢字もどんどん複雑になりますから、たまに一気に勉強するような調子ではとても追いつけず、そうかと言って、毎日機嫌良く効率よく漢字を勉強させるには一体どうしたら良いのか、実に頭の痛いところです。
「漢字は覚えなくてもいい」と大胆なショートカットを選ぶのも一つの方法ですが、そうすると年齢相応の語彙や表現力を増やすことも諦めることになりやすく、どの程度まで、どのように、勉強すれば良いのかは、多くの方の悩みの種だと思います。
日本の小学生と同じ位に漢字を読み書きできるようになるのは理想ですが、海外で育つ子どもたちは、在住国の学校での勉強もおろそかにできませんし、時間的にも体力的にも限られた中で最善、あるいはその子に取っての最良を見いだす方向で考える方が現実的だと感じます。
5回書いておぼえられないのだから10回書く。10回書いても忘れるのだから20回書く。
このような漢字を書く回数だけがやたらと多い修行のような練習をするのが一番無駄が多いと感じています。子どもは、早くマス目を埋めるためにただ手を動かしているだけなので、結局記憶に残らないのではないかと感じます。
また、海外に住む子どもはどうしても日本語の語彙が少ないので、漢字をおぼえても、熟語になると読みも意味もわからないことが多々あり、漢字1字の書き順、音読みと訓読みを学んでも、色々な場面で熟語として出てくる漢字に気付かなかったり、読めなかったりします。
例えば、1年生で「男」「女」「子」を習って、「男の子、女の子」は読めても、「男子、女子」は読めなかったり、「人」と「力」を習って、「人力」という熟語にピンと来なかったりするケースがあります。
漢字をおぼえる時には、その漢字を使った熟語や言い回しなどをできるだけたくさん一緒にインプットすることを心がけてみて下さい。
上記のドリルは、漢字と言葉を一緒におぼえることに工夫があるものの一例です。
漢字の書き方だけでなく、一緒に語彙を増やし、文章の中に出てくる熟語を読める、意味がわかるようになる練習ができます。
漢字は漢字だけで練習し、国語辞典を読むように語彙だけを片っ端から覚えるような勉強法は、小学生にはなかなか難しいと思いますので、一度に関連づけて提示してあり、自然に練習できる漢字ドリルはおすすめです。
また、漢字をおぼえるためには、できるだけ語彙が豊かである方が助けになりますので、親が意識して、日常会話に少し難しい熟語や表現を取り入れ、子どもが耳にする日本語の幅を広げることも大切だと感じています。
マス目に繰り返し書くだけの漢字ドリルではなく、子どもの学習を助けるような工夫のある教材を見つけ、集中して勉強することで、海外での日本語学習の様々な制限や苦労をクリアできるようにと思っています。
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