映画 Seoul Searching

先日見た作品から思いがけず知ったことがありました。


韓国系アメリカ人の監督の実体験を元にした作品で、タイトルにあるように、韓国の首都ソウルseoulと魂を意味する英語soulをかけて、韓国ソウルで自分探しをする世界の色々な国から集まった韓国ルーツの若者の淡い恋あり涙あり笑いありの姿が描かれています。

かつて韓国は国外への移民が非常に多く、また、海外へ養子として渡った子どもも多くいます。そのような韓国にルーツを持つ若者が韓国語と韓国の歴史や文化を学ぶために、韓国でサマースクールのようなものが行われていたらしいのです。

現在はどうなっているのか興味が湧いて検索した結果、母国修学、在外同胞プログラムという名称でほぼ同じものが行われていることがわかりました。

詳しくは下記のリンクにありますので、割愛しますが、韓国政府が、交通費は半額、授業料、滞在費、食費は全額負担し、授業も色々と工夫されており、在外韓国人が韓国の大学に進学希望する場合の補習、奨学金制度などもあって、かなり手厚い制度が確立していることがわかります。

期間も5ヶ月、2ヶ月、3週間と3種類用意され、大学進学準備過程、韓国理解過程、休み特別過程と名前がつけられて、色々なニーズに対応できるように考えられているところも感心しました。


世界各地に日系人はいますが、日本政府主催の母国研修プログラムが存在するとは聞いたことがありません。国際交流基金の在外日本語教師対象の日本への研修はあっても、継承語学習者対象のものはないと思います。

日本の文科省がイメージしている日本語教育、継承日本語教育というのが、同化政策でしかないように思えて仕方がなかったのですが、韓国政府にはある視点が日本政府にはないことは、このプログラムからもなんとなく見えてきます。

国際交流基金の方、すぐ近くの国に実績のある良いお手本があるのですから、ぜひ参考にして日本でも同じようなプログラムが企画できないものでしょうか?

在外邦人の家庭で、個人の努力や地縁血縁、経済力だけではカバーしきれない場合、このようなプログラムはかなり効果があると思いますが、日本では無理なのかしらと、この映画を見て以来そんなことを考えています。


こどもの にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス