日本語禁止な家庭

色々とツッコミどころはありますが、興味深い動画でした。

日本に住んでいる国際結婚家庭で、日本語母語話者の親が日本語を一切子どもと話さないのは、大きくなってからはともかく、乳幼児期にはどうなのかなと思わないこともないですが、(日本に住んで日本語で教育を受けて育つなら、いくら家庭内日本語禁止でも日本語は普通に習得すると予想しますが、幼児期の母子のふれあいが全く日本語で行われないことで何かを喪失するのかには興味はあります)これぐらい徹底しないと英語あるいはその他の外国語を日本在住では習得できないというのは、理解できると思いました。

でも、その言語の母語話者である外国人のお父さん達がちょっと母親に丸投げしすぎているような気もしました。父親は、仕事があって子供と接する時間が母親より少ないと言う面も確かにあるでしょうが、それであっさり逃げられると、母親に重責がのしかかるばかりです。

海外で子供を育てて、日本語と現地語のバイリンガルに育たなかったのは母親のせいだと自責の念を捨てられない日本人女性は少なくないと感じていますが、日本人男性はその点仕方ないうちは無理でしたで済まされがちな雰囲気があるので、そのあたりの不均衡も考えていきたいところです。

父親は仕事がある、子供と接する時間が少ないから、外国人の母親に自分の母語の教育も任せるというのは、口で言うほど簡単なことではないと思います。

私はイタリアに住んで娘の日本語に向き合いましたが、もし日本に住んでいたら娘にここまでイタリア語を母親だけの努力と工夫で習得させることはできなかっただろうと断言できます。


海外在住で子どもに日本語を継承しようと考えるご家庭も、逆パターンで同じことを実践している方も多いでしょう。

日本語話者の親は家の中ではあるいは子供とは常に日本語だけを話す。

日本語の絵本を読み聞かせする。

在住国のテレビ番組は見せないで、日本語のDVDを見せる。

このあたりのことは徹底度に差はあっても、どれかは実践しておられるのではないかと思います。

賛成派と反対派のそれぞれの意見ももっともだと思いましたが、こればかりは、各家庭の状況、その言語の習得の必要性、親の現地語の習熟度、子どもの学習能力、言語習得への適性、現地語以外の学習に避ける時間や経済力、親の熱意など千差万別ですので、反対だ、嫌だったという考えの当事者の気持ちもわかりますし、賛成だと考える方の理由も一理あると言うのが正直な感想です。

日本に住んでいるから日本語だけを習得すればいい、あるいは、イタリアに住んでいるのだからイタリア語だけ習得すればいいという出自のこどもだけではないことを第三者も理解していただけるといいなと思いますが、大人になってから本人の意思で外国語として習得するのが良いのか、幼児期から徹底的に2言語を並行して習得するほうがいいのかは、保護者がよく考え責任を持って選択し、子供の成長過程で2言語の理解や知識を確認しながら、無理なく適切に進める必要はあると思います。

今現在、海外在住で継承日本語育児真っ最中の方は、ここまでできないわと思われるか、これぐらいやらないとねと思われるか、それもまた様々ではないかと思います。

皆さんはどちらですか?

こどもの  にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス