最近読んで印象深かったものです。
ミシェル・ザウナーの自叙伝と言って良いエッセーです。
私も数年前に母も義母も亡くしましたが、彼女と同じように、母と義母のことを料理や食料品店などで鮮烈に思い出すことがあります。思い出すことだけしかできない現実とその悲しみを、すごく上手に文章にしてあると感じました。ずっと感じていたけれど、言葉にできない気持ちにやっと出合ったような気がします。
作者は韓国系アメリカ人で、韓国語は話せないそうですが、病気が進行してゆくとお母さんは韓国語しかわからなくなってゆき、母と子で意思疎通ができなくなってゆくという下りがあります。彼女は常に淡々と書いていますが、とても心に刺さる部分です。
Hマートのようななんでも日本の食材が揃う店は私の住む町にはありませんが、それでもイタリアで日本の食事を作り、一緒に日本のお菓子を食べた娘も、いつか何かを思うのでしょうか。そんなことを考えてしまいます。
邦訳やイタリア語訳はまだ出版されていませんが、一章だけ日本語で読めますので、ご興味のある方はぜひどうぞ。
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