リーディングスキルテスト

http://www.nii.ac.jp/userimg/press_20160726-1.pdf

読解力は、日本語学習の中でも漢字と同じくらい話題になる分野です。

日常会話は問題なくやり取りしているようでも、読解問題が苦手というケースは往々にしてありますし、なぜこんな簡単な文章の意味が分からないの?とびっくりすることもよくあります。

日本に住んで日本語だけで育つ子どもでもそうなのですから、海外に住んで日本語に接する時間が圧倒的に少ない環境で育つ子どもなら、なおさらです。

また反対に、在住国で生まれ育ち幼稚園からずっと現地語で教育を受けたから、現地語はネイティブだ、現地語の学習には問題がないと思っていても、読解力や語彙、表現力などについて小学校の担任の先生から指摘されるケースもあるでしょう。

私の娘も、イタリアで生まれ育ったにしては無理なく日本語も喋っていましたし、本を読むことも好きな子どもでしたが、国語ドリルの読解で、あれっ?と思うような間違いをすることはありました。

「もっとよく読みなさい!」と何度読ませても、ぽかんとしていたり、「このあたりがヒントですよ〜」と出題文に線を引いたりしても、わかったようなわからないような顔をしているので、これは一体どういうことかしらとやきもきしていたことを思い出します。


リーディングスキルテストで測る読解力がどういうものであるかを詳しく読めば、どのようなポイントに注意して子どもの日本語力を育ててゆけばよいのか参考になる点が多いと感じます。

人がどのように読解するか現在分かっているプロセスとして列記されている11について、読んでいただくとわかるのですが、これらは日本語の文法の知識とそれ以外の知識から推量推論する能力なのだとわかります。

読解問題を間違う子どもは、人工知能のように問題文と解答欄の選択肢をパターンで当てはめ、たまたま正解を選んでいたり、単なるパターン化しかできないので正確に答えられないことが往々にしてあります。

文節、係り受け、主語述語の構造、接続詞、指示語は、国語教科書にも出てくる単元ですが、特に海外に住む子どもには教科書だけでは練習量が少なく、しっかり習得させるのが難しいところでもあります。

海外での日本語学習は、漢字の書き取りや作文、日記の宿題に追われることが多く、文法事項の徹底練習までは手が回りにくいのも事実ですが、低学年で短文しか読めない時代から正確に読み書きできるように心がけてサポートするのは大切だと感じています。

これからこの分野でもっと研究が進み、子ども達の学習に役立つようになることを期待しています。

研究者の新井紀子先生のインタビュー記事もありますので、ご興味のある方はあわせてお読みください。


こどもの  にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス