赤ちゃんの時に聞いていた言語の音声をおぼえている

大学で日本語を学んでいるイタリア人から「クラスに母親が日本人の学生がいるけれど、日本語を知らなくて、教科書を読む時に日本語の発音がきれいなところしかイタリア人と差がないので、びっくりした」という話をきいたことがあります。

いくら母親が日本人でも、日本語の読み書きを勉強せずイタリア語で育ったとしたら当然の結果ですから、そんなにびっくりしてあげないでと思いましたが、発音だけはやはり違うんだなと印象に残りました。その後に、この研究発表を目にする機会があり「やっぱり研究した方がいるんだわ」と思った次第です。

まだ言葉を話さない乳児の時に、良質で充分な量を耳にしていた言語の音素を、成人になってその言語を忘れてしまっても聞き分けることができるというデータが出ています。

韓国生まれで乳児の時に養子になってオランダで成長した人と、オランダ生まれでオランダで育った人が、オランダ語にはない韓国語の発音の聞き取りレッスンを受けた場合、養子の人のほうが聞き取りも発音も習得するのが早かったという結果です。

  

子どもに日本語を伝えるかどうかは、それぞれのご家庭の判断でどちらにされても良いこととは思いますが、「赤ちゃんだから何もわからないし」「大人になってから勉強すれば同じじゃないの」と放置するよりは、たとえ小さな事でも将来子どものためになるのであれば、日本語でも充分話しかけてあげれば良いのではないかしらと感じました。

また、記憶に残っているのはあくまでも音素の聞き分けと発音だけで、思い出して話せたりするわけではありません。この事を考えると、ある言語を話せるようになるには、無意識で聞いているだけではだめで、やはりある程度主体的に学習する必要があると言えるでしょう。

寝ている間にエンドレステープで英会話を聞いているだけで英語が上達するという宣伝を、昔雑誌等でよく見掛けましたが、あれがいかにインチキかわかります。

 大人は、一生懸命覚えようとしてもすぐ忘れてしまうことばかりで、発音を真似しようにも難しいのに、赤ちゃんの時に無意識で聞いた音素を成人しても脳が記憶しているのは、なぜなんでしょう。   赤ちゃんの不思議ですね。




こどもの にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス