継承日本語教育に関心のある保護者や先生の間で、よく話題になるのが「子どもが日本語の学習を嫌がったり、補習校を辞めたいと言った時に、どうしたらよいか」というテーマです。
永遠のテーマと呼んでもよいような気もしますが、継承語として日本語を学び続けることがいかに難しいかを示す一端だと感じています。
上のタイトルは、あるお子さんが実際に言ったという言葉です。
子供が日本語学習を嫌がるようになったので、補習校をやめさせた結果、子供はそれ以上日本語を習得しなかった。
大きくなってから、自分で日本語を勉強した方がいいと考えるようになったのだが
「お母さん、なぜ子供の時にちゃんと日本語を勉強させてくれなかったの?」
と親のせいにするので
「あれほどやめたいと言ったのは自分じゃないの?!」と答えると、
これに対して子供が
「親なのに子供の言うこと聞いちゃダメじゃん!」って言ったんですよ。
という大笑いのオチがありました。
親のせいにするけれど、当時は親子でとても悩んだし難しいですよね。という意見や、やめたいと言うのは簡単だけど、続けるのは実際苦しいから悩みますという気持ちもわかり、とても他人事とは思えないエピソードでした。
子どもによりいろいろな条件や状況があるので一概には言えませんが、日本語の勉強が大変だからと言って完全にすっぱり諦める必要はないというのが、継承語に関わる教師の大多数の実感ではないかと思います。
補習校がしんどければ何か他の方法で、漢字ドリルは負担が大きければ、違うアプローチで等、いろいろな工夫をして、細くても長く日本語に親しんでほしいというのが心からの願いです。
この話について私の娘に「経験者としてどう思う?」と尋ねてみたところ、
「子どもは皆勉強が大好きで喜んで学校に行ってるわけじゃない。けれども、勉強嫌いでも成績が悪くても親は簡単に学校を辞めさせたりはしない。家庭教師をつけたり、勉強が楽な学校に転校させたりはしても。でも補習校や日本語の勉強は、子供がやめたいって言ったら割と簡単にやめさせるし、その後に違う方法や手段で勉強をコンスタントに続けるケースが少ない。やっぱりその違いだと思う。義務教育じゃないけど、なんとかして続けたら、誰でも結果は違ってくる。」と自分の意見を言ってくれました。
娘も当時は毎日ぶつぶつ言いながらイヤイヤ日本語の勉強をしていたのですが、成人した今そう言ってくれたことで、私も少しは報われたような気がします。
まさに今この問題に直面されている方があれば、今ならインターネットが普及し、日本語を学ぶ方法もいろいろな形があるのだから、簡単に諦めないで世界のどこかで皆できるだけ楽しく頑張れるのではありませんかと言ってあげたいと感じています。
子どもが日本語学習を続ける上で何が困難の原因かは千差万別ですので、時間のやりくり、教材の選び方、学習方法、モチベーションの与え方、他の習い事とのバランスなど、いろいろな観点から工夫をしてみてください。
多くの子ども達が、日本語が嫌だから、辛いからもうやめる!ではなく、ここまで頑張った、偉かった!親も子も満足!と思って日本語学習を終われるように願っています。
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