面白いYoutubeがあると教えてもらいました。
仲の良い3人の男性が、それぞれの持ち味を生かして毎回面白いテーマで動画をアップしています。
この中の一人が、アメリカ育ちで、高校からは日本在住、日本の大学を卒業したという経歴のケビンさんです。
この彼が、日本語の会話はペラペラなのに、音読するとかなり怪しい人になるという回です。
高校から日本で教育を受けたとしても、彼の日本語の発話力は、海外で継承語に関わっている者からすると本当に素晴らしいと思うレベルです。
発音もほぼ英語の干渉がないし、会話のスピードも日本語が第一言語の人と変わりません。ところが、日本語の文章を読むと、成人としては結構ボロボロです。
実は、継承語を学んでいる子ども達の中にも似た傾向があり、とても興味深い点があります。
漢熟語に読めないものが多い。特に漢字の音読み。
文字は読めているが、イントネーションがおかしいところがある。
句読点のないところで、区切る部分が不自然になる。
ひらがなが続く部分でなぜか読みづらい。滑舌が悪くなる。
これらを単純に、日本語の読み書きの勉強不足と一言で片付けるのではなく、なぜそうなるのかに非常に興味を持っています。
日本で生まれ育ち、日本語だけで教育を受けた人にも、国語のよくできる人とできない人がいるのは当然ですが、よくできる人でも、すべての日本語の語彙や表現、漢字を知っているわけではありません。初見で読む書類や書物に、知らない漢字や語彙が出てくることは普通にあります。けれども彼のようなしどろもどろの読み方にはあまりならないように思います。
読むことは、話すこととはまた別の訓練と経験が必要だということの証左だと思いますが、音読することで本人も気づくことができますし、保護者も聞いてわかることがたくさんあるので、日本の小学校でも国語の宿題に必ず音読があるのも、やはり意味があるのだと考えています。
音読もやる意味があるからこそ出されている課題ですので、ただ単に意味も内容も理解せず暗記して、文字をろくに見ないで早口言葉やお経のように読むとか、必ず同じ間違いをしているのにそれを注意せずただ読んで終わるなどは、これらの目的を意識していないわけで、非常にもったいないと感じます。
黙読では、子どももこのような弱点に気づきませんし、大人も指摘できないので、やはり小学生に音読を現在でも宿題として課しているのは、そういう視点からだろうと思います。
毎日子どもの音読に付き合う保護者も大変なのは事実ですが、BGMのように聞けばいいというものでもないし、子どもも、読めば終わりという態度ではあまり意味がありません。
音読は好まれる宿題ではありませんが、やってみるとかなり色々なことが炙り出せるので、指導にはかなり役に立つと常々感じています。
継承語の場合、日本語で日常会話ができればというのが、多くの保護者の理想や目標だと思いますが、逆に考えると、日本語でかなり流暢に話すことができても、読むことはすらすらとできないケースはままあるということになります。
日本語がすらすら読めなくてもこれだけ話せたらと考えるか、やはり読み書きも大事だと考えるかは人によると思いますが、非常に興味深い動画でした。
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