漢字をどのように勉強するのが良いのか、これは本当に悩みの尽きないところだと思います。
継承語として日本語を学んでいる子ども達は、日本語習得の最終的な目標やモチベーションも様々で、環境も違いますし、何より現地校の勉強をしながら同時に日本語も学習するという、時間的にも肉体的にも負担が大きく限りがある中で学習を続けることになります。
ですから、全ての子ども達に等しく有益で可能な方法は非常に少なく、同じようには言えないと思いますが、漢字を切り捨てず、日本語学習を習慣づけして、コツコツ積み上げることが、日本語学習を細くても長く続ける原動力になり、最終的に、日本語運用能力の精度を上げることにつながると感じています。
通信教育や補習校などで勉強していても、漢字習得が楽々と進むわけではないので、漢字は特に、家庭での自立学習での反復次第の面が大きいとも感じます。
各ご家庭でそれぞれに工夫されていると思いますが、ある一例としてご紹介します。
2010年生まれの女児で、イタリアでは中学1年の終わりですが、日本の学年ではこの4月から小学6年生になります。
一般的に、日本の小学校や各国の補習授業校で取られていることが多い方法に近いです。
学年の新出漢字を決めた数だけ毎日ノートに書いていきます。
ポイントは、
漢字一字を大きく、正確に書き順を見ながら丁寧に書きます。
ノートのマス目を全部埋めるまで何回も同じ漢字を繰り返し書く練習はしません。
その漢字を使って自分で文章を考えて書きます。
この子は、文章産出に慣れていますので、ここまでの作業に10分もかかりません。
この方法は、日本語の語彙や表現力が少ない子ども、文字を書くことに抵抗がある子どもには、難しい億劫な作業になりますが、書ける読める子どもにはそれほどハードルが高くはないので、毎日続けて、新出漢字を一回全部このように勉強します。
並行して、国語教科書の内容を教科書ワークや他の市販ドリルなどでも勉強しますので、新出漢字や既習の漢字は何度も読んだり書いたりすることになります。
4月から6年生の進出漢字を学習し始めましたので、新しいノートにとても綺麗に書けていたので、お願いして写真を撮ってもらいました。
試行錯誤もありましたが、現在のところこの方法が一番記憶に残りやすいように思うと保護者は話しておられます。何回も同じ漢字を書くより、自分で考えた文章なので、思い出しやすいみたいだということです。
同音異義語、新出漢字の熟語に特化した練習問題にも取り組み、習った漢字を記憶しているかどうか、それらの漢字を使えるかどうかを適時確認しています。
漢字は、最終的に記憶したものをさっと思い出せるかどうかにかかっていますので、毎日の勉強時間は短くて良いので、出題や設問の方式を変えたりして、何度も反復練習するようにします。その繰り返しの中で、間違わない漢字は外していき、ミスが多い、なかなか覚えられない漢字を重点的に復習していきます。
「この漢字、勉強したのに覚えてないの?」は、海外では禁句です。
間違えても恥ずかしくない。漢字を忘れるのはある意味当然、イタリアで使う場面はほとんどありません。でも、覚えられたらとても良いから今頑張って覚えよう。また忘れたかー。この間違いは惜しかったね。という調子で、子どもが挫けないように、自分は頭が悪いとか、できないんだと思い込まないように、励ましたり、助け舟を出したりしながら伴走するのが私の役目かなと思っています。
勉強するだけでなく、日本語の本や雑誌の読書、日本語でのテレビ番組の視聴なども語彙や表現力を増やすのにも役立ちますし、漢字が読めて熟語の意味がわかることで読書も楽しく楽にできることを実感してもらえるのも意味があると感じています。
漢字の勉強は楽しいことばかりではないけれど、漢字が読めると楽しいこともあるんだよと伝えてゆけたらと思っています。
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