子どもは、拾い読みと呼ばれる一字ずつ区切った読み方に最初はなりがちで、まるでロボットがカクカクと声を出しているようなぎこちない読み方をします。
句読点で上手に区切ることがなかなか難しい子どももいて、おかしな箇所で息継ぎをしたり、細切れに読んでしまい、聞いている親も苦しく、読んでいる本人さえ書いてある内容がさっぱりわからなかったりもします。
練習するうちにだんだんと上手になるものですが、海外に住んでいると、音読が思うように上達せず、いつまでももたもたした読み方をするケースも少なくないと思います。
ひらがなを全て読めるようになったから、すぐにスラスラと本が読めるわけではありません。
字を読み始めたばかりの子供には、意味のあるひとかたまりで文字が読めませんから、「さ」とあったら「さ」とだけ読み,その次に「る」とあったら「る」とだけ読み、ちょっと考えて「さ」と「る」...「さる?」...わかった、猿だ!となるわけです。
1年生の国語教科書はこの点を踏まえて、いきなりから長文を読ませるようにはなっていませんが、海外で育つ子どもには国語教科書では少々ハードルが高い場合も多いかと思います。
まずは,2字の単語、慣れてきたら3字の単語をたくさん読む練習をしてみてください。
どんどん文字数を増やして、「にじいろおおくわがた」とか「ちょうとっきゅうひかりごう」など長くて,濁音半濁音、長音拗音などのある言葉も初見で一息に読めるようになると良いと思います。
図鑑のような名詞ばかりが出てくる本をそのような練習に使うと便利です。その時に子供が好きなもの,昆虫や乗り物,動物などを選ぶと、興味のある内容で知っているものが出てきますから楽しんで読めると思います。
単語が読めるようになれば、「あかい はな」「しろい くも」のような2語文を,次に「いぬ が いる」「ねこ が ねた」など助詞を含む短文を練習してみてください。
この位のごくごく短い文だけで面白い絵本は、ことば遊びの絵本に割とありますので、そのような絵本を音読すると便利です。
このような基礎の練習をしてから国語教科書に取り組むと、ほとんどの子どもは読めるようになってゆくと思います。
大切なのは,単に声に出して読むだけではなく、語彙を増やすことも念頭に置いて行なうことです。
「あかい」と読んだら「赤い」と言う意味で、それはりんごやいちごの色だと理解していないと、声に出して「あかい」と読んでも意味が分からないからです。
読み書きの勉強に入るまでに、できるだけ日本語で話しかけ、日本語の語彙をたくさん耳から覚えるようにしておくことの意味がここで生きてきます。
日本で育つ子どもであれば小学校入学までにかなりの数の日本語の語彙を獲得していますから、ひらがなさえ覚えれば読んで意味がすぐわかるのですが、海外で育つ子どもは耳から覚える段階から既に獲得語彙数が少ないので、ひらがなが読めても意味がわからない事になりやすいのです。
幼児期から日本語で話しかけ、日本語の絵本を読み聞かせすることが推奨されるのは,こういう観点からも重要だと思います。
小さな子が上手に読めたらにっこりする姿は、とてもかわいらしいものです。
焦らずに楽しみながら日本語の本の世界の扉を開けてあげてください。
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