魔女の宅急便

生徒さんの一人から「とっても面白いから先生も読んで」と「魔女の宅急便」の本をシリーズで貸してもらいました。

1作目はずっと昔に読んだことがあったのですが、その後もお話は続いていて6作まであり、少女だったキキが成長し、恋をして、結婚し、お母さんになっていてと、自分が生きてきたことをなぞっているような不思議な気持ちになりながら(私は魔女ではありませんが)、読み進みました。

1作目だけで十分にお話として完成されているし、続きにはそれほど興味はなかったのですが、6作目まで読んで、角野栄子さんの言わんとしていることは、この長い時間の流れが必要だったのだと深く感じ入りました。

まだまだ子どもだった13歳のキキが成長し、様々な経験をして大人になり、母になり、そしてキキの子どもたちがまた成長していく様とそれを見守る母になったキキを通して、角野栄子さんの優しい眼差しと思いが、それぞれの年代の読者に相応しく伝わるような、そんなお話でした。

私が面白いと思ったところと10歳の女の子が面白いと思ったところは、きっと違うでしょうし、私がどうしても親の立場、親の視点で読み解こうとするのに対し、これから思春期や青春を迎える女の子は、違う視点から読んだはずですが、子どもが読んで楽しく共感できるように書いてあるにもかかわらず、人生の何かを伝えてくれる本でした。

日本語の勉強は続けるだけでも大変ですが、漢字も覚えて語彙を増やして、そうしたらきっといい事あるよと思いながら励ましてきましたが、一人でこれだけの長さの本を楽しんで読むようなっていることも感慨深く、忘れらない本になりました。

ジブリの映画もとても良い作品ですし、本も1作目だけでも十分楽しめるのですが、大きくなったらできれば続きも全部読んでみて!と言いたいシリーズです。

一般的には女の子向けのお話と思われていると思いますが、男の子が読んでも共感できる要素がちゃんとあって、そこもきっと角野栄子さんは意識して描かれているのだと思いました。

総ルビではありませんが、漢字にはふりがながあります。

少しですが、白黒のかわいい挿絵もあります。

多少、表現や語彙に海外で育つ子どもには初見ではよくわからないかもと思われる箇所がありますが、親が助け舟を出したりすることで解決できるかと思います。

こどもの にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス