日本語はどこまで

海外在住で日本へ帰国の予定がない、いわゆる永住家庭の場合、子どもにどこまで日本語を勉強させればよいのか、目標をどこに設定すればよいのかは、悩むところです。

 これは言い換えれば、

  • 我が子を日本人として育てるのか
  • 日本語のわかる外国人として育てるのか
  • 在住国の現地人として育てるのか  という親の意識にも関わってくるように思います。

 たとえ日本人の両親の間に生まれた子供であっても、子供は育った場所の文化や習慣、学校教育の影響を多分に受け、アイデンティティを育んで大きくなりますから、日本人だから、日本国籍だからという理由だけで、どこから見ても完璧な日本人であれと育てるのが難しいのは、当然だと思います。

 まして、両親の国籍や人種が違う家庭の場合、子どもは二つ以上のルーツを持つわけでもあり、片親が日本人という理由のみで日本語を課されても、子どもから反発や抵抗があるのも宜なるかなとも思います。

幼児期は母親べったりで、母親の言動が全ての価値判断の基準の世界で育っても、10代になれば親より友達の存在が大きくなり、まわりの友達と同じように振る舞おうとするのは、ごく自然なことですから、日本語および日本の優先順位が徐々に下がってくることも心に留めておかねばならないでしょう。

幼稚園 小学校時代はともかく、中学 高校になれば、現地校の勉強は難しくなり、落第、追試、卒業試験、大学進学準備等で日本語どころでなくなる可能性も充分にあります。

 子ども自身が、成長しながら日本や日本語との距離と付き合い方を考え悩むように、親もまた、子どもの日本語との距離、付き合い方を模索しなければならないと感じています。

 日本人の親が、在住国の生活習慣に馴染むこととはまた別に、自分の子どものアイデンティティをしっかり受けとめるのも大事なことと感じています。 

こどもの にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス