作文 くわしく書く

家にある果物から一つ選び、それをよく見て詳しく書くというお題の作文です。

形容詞と副詞を「くわしくすることば」という説明で、ある程度習得しているので、それらを使って表現できることが主眼でした。

「果物の名前を言わなくても、聞いた人や読んだ人が何の果物かわかるように、言葉だけでくわしく書いてください」と宿題に出しました。

「それなら、なぞなぞみたいだね」と反応があったので、誰にでもわかるように書くためには

・説明は自分の主観ではなく、客観的に書く

・五感でわかる事(色、形、大きさ、におい、手触り、味、噛んだ時の音等)をよく観察して書く

とアドバイスしました。


「なぞなぞフルーツ」

形は、まるくて上の方がちょっとつきでているよ。

色はオレンジ色で真ん中の方が赤く、さきっちょは緑色。

かすかにあまずっぱいにおいがし、さわるとちょっとかたくて中はプルプルだよ。

味は、あまずっぱい。

さて、なぁんだ?!

答え:オレンジ


2010年生まれ 男児


聞いていた子ども達が「これは柿だと思う」と言ったので、これを書いた男児はちょっとへこみました。「柿の中身はプルプルじゃないでしょ」と反論すると、「柿の中身はプルプルって言えると思う」とまた反論されて(イタリアには日本の富有柿のような柿と、じゅくじゅくに柔らかくて中をスプーンですくって食べるタイプの柿とがあるので、後者を指していると思われます)

「でも、柿の上の方は突き出てない。平べったいから。よく見てよ」と強くオレンジ正解説を主張していました。しかし、またもや「柿も尖っている方があるし、どちら側が上かはこれではわからないよね。置き方で上とも下とも言えるじゃん」と反論が...

男児は「それは屁理屈だよ」と納得できないようでしたが、なぜ柿ともとれるし、オレンジとも言えるのかを皆で考えてもらい、オレンジにだけある特徴とは何かを発言し合い(「外側の皮はぶつぶつか、でこぼこって書けば良かったんじゃない?」「においでわかるんじゃない?」等)、もう少し何をくわしく書けばもっと特定できたのかが皆わかった様子でした。

それぞれがちゃんと理由をあげて反論しているのは、とても良いと思いました。

これは議論の基本ですね。議論の技術はイタリア語で鍛えられているのかもしれません。

「なぞなぞフルーツ」と言うタイトルは男児が自分で考えてきたもので、とても良いタイトルだなと思いました。このタイトルでたくさんなぞなぞを作る遊びもできそうです。


他の子ども達は、偶然同じ果物を選びました。

客観的な説明を書いた後に自分の主観に基づく説明を書いても良いと言ってあったので、最後にちょこっと書いてくれています。


細長い三日月の形をしています。

かたっぽのはじは、ひきちぎったあとがあって、かれた木みたいな色をしています。

もうかた方のはじにはこい茶色の丸い点があります。

全体的に黄色ですがりょうはじは黄緑色です。

食べてみると食感はムニュムニュしていて、(じつは少しにが手)一番好きでないのはだれかがこれを食べているのを見ることです。

2011年生まれ 女児


たべたかんじは、むにゅ。

さっぱりしたにおいがします。みかづきのかたちです。

ひょうめんは、かわはつるっとしていてかたくて、なかはすこしぼこぼこしていてやわらかいです。

こたえ バナナ

2014年生まれ 女児


本人は意識していないと思いますが、他の文はですますで終わっているのに、最初だけがむにゅで言い切っていて、なかなか感じが出て良いと思いました。

最初の3文で詩になりそうな感じですね。

子どもの書く文章は作為がなくとても美しい時があるので、書き留めておくとよい思い出にもなりますね。













こどもの にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス