「この本すごくおもしろかった!先生も知ってる?」と10歳の女の子が見せてくれました。
書評やレビュー等でもかなり評価が高く、人気のある児童書と知っていましたが、手に取ったことはありませんでした。今回、1巻と2巻を読んで「なるほど。これは子供が進んで読むはずだわ」と思う本でした。
・ほとんどの漢字にはふりがなつき
小学校1、2年で習う漢字にはふりがなはつけてないようです。ふりがながついていても、同じページに2度目に出てきた言葉にはルビなしです。
・短編集
1巻に6〜7話の短編が収録されており、1話は30ページ弱なので、本を1冊読み切る根気がない子でも1話ずつなら読みやすいでしょう。各お話は完結しているので、好きな所から読んでも大丈夫です。
・1話が短いだけでなく、文章もシンプル
短い文章が多く、複文や重文もありますが、ごく簡単な関係節で構成されています。特に1巻はその傾向が強く、正直ぶちぶちと切れた文章を読んでいるようで落ち着かなかったのですが、逆に考えると日本語の長文が苦手な子どもにはこちらの方が理解しやすいと思います。
・子どもの好きそうな題材
魔法、おばけ、占いなど子どもにウケそうな現実離れした要素が、路地裏、駄菓子屋、謎の店主の紅子さんなどの日本的レトロ感と独特の湿度感のある演出で描かれています。怪談話程の怖さはないけれど、不思議で怖い世界は十分味わえますし、納得できる結末なのも子ども向きです。
漢字のルビの有る無しから考えて、対象は日本の小学3年からだと思いますが、内容から考えても、ストーリーの表面的な面白さだけでなく、根底に流れる意図を読み取れるのは10歳前後が適当だと思います。
丁度、絵本も童話も卒業したけれど、字ばっかりの本は面倒くさい、マンガの方が良いと言いがちな年齢に当たりますので、このようなジャンルで子どもに配慮がある本をどんどん読んでくれたらなと思います。Kindle版もありますので、海外からは便利ですね。
この本を貸してくれた女の子とは3歳の頃からのお付き合いですが、ひらがなを覚えることから一緒に始めて、今や日本語の本の貸し借りをして感想を話し合ったりできるまでになりました。「なんで漢字の勉強をしなくちゃいけないの?」と訝りながら勉強していた時もありましたが、「日本語も勉強したらいいことあるよ」と言い続けてきたことが少しずつ形になってきているようで、嬉しく思っています。
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