おてがみ書いてね

ある程度枠組みを決め、表記法を確認しながら作文として文をを書くことに取り組んでみましたので、次はもっと自由に自発的に日本語で書く経験ができることを考えました。

絵日記などが一般的ですが、日記形式に限定すると、継続が負担になったり、語彙や表現力が少ない子どもの場合は「何を書いたらいいかわからない」と、ほとんど同じような単調な文の繰り返しになりがちです。

書くことがプレッシャーになるのは本末転倒ですので、短い手紙ならどうだろうかと考えました。

実在の人でも架空の人物(アニメのキャラクター)や動物でも、好きな相手に自由に手紙を書いてもらいます。

書いた紙を提出してもらうだけでは面白味がないので、小さい郵便ポストを作り、教室内に置くようにしました。ポトンとお手紙を入れることが珍しくて面白いので、そのために何か書こうと思ってくれたらという仕掛けです。

お手紙ですから、返事も必須です。自分宛に来たら次回はお返事を書いてきてもらいます。

誰に書いても良いと言ってありましたので、恐竜やキャラクター、新幹線、山手線などにお手紙を書いた子には、私が成り代わってお返事を書きました。

本物の郵便ではありませんが、手紙をもらったり、お返事が来て嬉しい気持ちを子ども達に感じてもらい、読んで気持ちが通じることを実感してもらえたらいいなと思っています。

封筒に凝ったり、絵も描いたり、楽しい工夫をして手紙を書いてくる子もいて、楽しみながら日本語でも作業ができることを嬉しく思っています。

お家でお母さんに助けてもらいながら一生懸命書いたんだろうなと思うお手紙や、一言言えば済むような内容であっても、書いてみるかと思ってくれたんだなと嬉しくなるようなお手紙もありました。

日本語は単なる学習の繰り返しだけで終わるのではなく、文字を覚え読み書きすることの実際の意味をできるだけ子ども達に伝えたいと考えています。

また、遊びとは言え私信ですので、書き間違いや字の乱れがあっても赤ペンで訂正を入れることはせず、他の機会に間違いに気づくように指導しています。

日記は補習校などでは定番の宿題だと思いますが、日記よりはずっと気楽に書け、ふざけても怒られないこのようなお手紙ごっこも、子ども達の日本語の読み書き実践につなげていけるのではと感じています。


こどもの にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス