新学期に寄せて

州や自治体によって日にちは違いますが、長い夏休みが終わってイタリアの学校が始まりました。

同時に、補習校や日本語教室などで日本語を勉強し始めるお子さんも多いでしょう。

子ども達が興味を持って日本語に親しんでいけることを願っていますが、日本語学習は、他のお稽古事とは違います。

週1回教室に参加すれば、自然に日本語がしゃべれるようになり、文字を覚えたら、すらすら文章を書けるようになるわけではありません。海外で育つ子どもにとっての日本語は、家庭での耳からの十分なインプットと環境作りがまず何よりも大切です。

日本語話者の保護者は、できるだけお子さんと日本語で対話し、日本語の絵本を一緒に読んだり、日本語の幼児番組や映画を見たりして、日常生活に日本と日本語をできるだけ感じられるようにしてあげてください。家庭でも外でもほとんど聞くことも目にすることもない言葉を、子どもが興味を持って勉強していけるはずはないのですから。

日本語学習の宿題は、日本語話者の親が横で見守りながら取り組むようにしてあげてください。3〜4年生になり「もう大きいんだから一人でできるでしょ?」と言うのは、まだ早いです。

親は、宿題をしている子どもにあれこと注意したり、教えるのではなく、横にいて子どもと一緒に時間を過ごして、日本語の勉強も頑張っている子どもを認めてあげることが大切です。

継承語としての日本語学習は、とても長い時間と根気の必要なものです。

できない事や難しい事は、少しもどって復習し、できる事わかる事を増やしていきましょう。時々休んだり、もどったりしても良いのです。

勉強はペースダウンしても、家庭は日本語を使うことのできる限られた場所ですから、現地語でさっさと親子の会話をせず、子どもにわかるように日本語を使い続けてください。

日本語で親子で冗談を言い笑い合える、日本のおじいちゃんおばあちゃんとお話しする、好きなアニメや漫画が現地語に翻訳されるのを待たずに楽しめる、興味のない人から見れば取るに足らない事でも、気負わずに日本語でできるようになったらすばらしいことです。

漢字もおぼえて語彙を増やしていければ、自分の気持ちをもっと詳しく表せるようになったり、色々な本を読んで世界や知識を広げることができます。

イタリア語も美しいけれど、日本語も美しいし、世界にはもっと色々な言葉があって、知らないことがあふれています。

子ども達が楽しんで色々な言葉の楽しさ美しさに触れることができますように願っています。


こどもの にほんご

nipponica イタリア・ボローニャ 幼児からの継承日本語クラス